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1 : くり : 2004/03/08(月) 00:25
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2 : くり : 2004/03/08(月) 00:39
と、宣伝してみたが・・・・・・・・
『来る奴なんているのか?』
大体、『超エッチ』ってのが嘘臭いぜ(宣伝文句だが)。
度を越えた性欲の持ち主って事か?
俺なら、そんな異常者と友達なんかになりたくねー・・・・・・・。
こういう奴らは、余計なトラブルを持ち込むからな。
そして、『贈呈音符』ってのは何だ?
傷口を責めるみてーだがよォ〜〜〜、『贈呈♪』じゃねーのかァ?
よォォォォォォ?
・・・・・・・・・・・俺の勘じゃ、誰も行かねーな。
ここの連中は、猜疑心の強い小心者ばかりだからな・・・・・・・・。
俺が『ゴルゴ13』でも、やっぱり行かねー。

3 : サブロー『ブラウンストーン』 : 2004/03/08(月) 00:44
「タダで出来て超エッチな子とアド交換できるチャンス‥‥!?」
 
来た。

4 : : 2004/03/08(月) 21:08
>>3
「客が来たぞ・・・・・・『くり』。」
 
ソファーに座り、一人でチェスをしている男が言った。
部屋の隅に立つ『くり』と呼ばれた若い女性は、すぐ横のドアを開く。
 
「いらっしゃいませ。」
 
『サブロー』が迎え入れられたのは、事務所らしき六畳程の部屋だった。
目の前の若い女性の他に、ソファーに座った若い男がいる。

5 : サブロー『ブラウンストーン』 : 2004/03/08(月) 22:57
>>4
勿論、本気で信じてたわけじゃあねー。
けどまあ‥‥なんだ、『悪戯心』ってやつか?
たまたまアブク銭が手に入ったんで、軽い気持ちで来ただけだった。
もしなんか、トラブルがあっても‥‥‥俺には『ブラウンストーン』があるしな。
 
「意外と殺風景だな。
もっとこう、ピンクチラシとかバンバン貼ってあると思ったぜ‥‥」
 
事務所の中を見回した。

6 : : 2004/03/08(月) 23:24
>>5
事務所の中央に2つのソファーが向かい合って置かれ、その間にガラステーブルが
1つある・・・・・・・・・それらと平行して、立派なデスクが壁際に見える。
デスクの後ろの壁には、『出会い系』の文字が額縁に飾られていた。
 
「じゃあ、あなた・・・・・・・・・コレに記入して。」
 
ソファーに座っていた男は、立ち上がってデスクの方へ向かうと、引き出しから
1枚の用紙を取り出す。
女性がガラステーブルの上のチェス盤を片付けると、男は用紙をテーブルの上に
置いた・・・・・・・・・・・そして、自分の胸ポケットからボールペンを1本取り出す。
 
「記入が終わったら、彼女に渡して。」

7 : サブロー『ブラウンストーン』 : 2004/03/08(月) 23:42
>>6
「ん、ああ‥‥‥」
 
ソファーに座り、用紙を見た。
何が書いてある?

8 : : 2004/03/08(月) 23:43
>>7
用紙を見た。
 
『→以下の設問に答えて下さい。』
『あなたの氏名は?』
『あなたの年齢は?』
『あなたの性別は?』
『あなたの趣味は?』
『好きなスポーツは?』
『好きな食べ物は?』
『好きな女の子の年齢は? 年上・同い年・年下』
『女の子に求める事があれば、お書き下さい。』

9 : サブロー『ブラウンストーン』 : 2004/03/09(火) 00:05
『あなたの氏名は?』 但馬三郎
『あなたの年齢は?』 26
『あなたの性別は?』 男
『あなたの趣味は?』 スポーツ観戦(特に野球)
『好きなスポーツは?』 野球
『好きな食べ物は?』 カレーうどん
『好きな女の子の年齢は? 年上・同い年・年下』 同い年か年下
『女の子に求める事があれば、お書き下さい。』  世話好きな子がいいな

10 : : 2004/03/09(火) 00:12
>>9
用紙を書き上げると、若い女性が回収した。
それを男に見せる・・・・・・・・・。
男は、デスクの椅子に座って少しの間用紙を見つめていた。
 
「『但馬さん』。
それでは・・・・・・・・早速、紹介しましょう。
どこか、『待ち合わせ場所』の希望は?
指定の場所に、女の子を送りますので・・・・・・・・・」
 
男が言った。

11 : サブロー『ブラウンストーン』 : 2004/03/09(火) 00:18
>>10
「特にねーが‥‥じゃあ、『駅前』の『噴水』の前あたりで」

12 : : 2004/03/09(火) 00:26
>>11
「分かりました・・・・・・・では、駅前の噴水前で。
時間は━━━━━━━━」
 
男は、腕時計をチラリと見て続ける。
 
「『2時間後』という事で。
今から2時間後、駅前の噴水前でいいですね?
『目印』として、女の子には『黒い帽子』と『黒いバック』を持たせます。」

13 : サブロー『ブラウンストーン』 : 2004/03/09(火) 00:29
>>12
(おいおい、超あっさりしてるな)
と思ったが口には出さない。
 
「こっちも何か、『目印』があったほうがいいか?」

14 : : 2004/03/09(火) 00:35
>>13
「いえ、あなたの方から声を掛けて貰えれば。」
 
男が言った・・・・・・・・ふと、若い女性が男に何か耳打ちする。
男は、それを聞いて『但馬』を見た。
 
「では、そろそろ時間ですので・・・・・・・・・。
何か問題が発生しましたら、もう一度お越し下さい。」
 
若い女性が、ドアを開く。

15 : サブロー『ブラウンストーン』 : 2004/03/09(火) 00:38
>>14
(『問題』‥‥まあいいか)
 
一度家にもどって身奇麗にすると、駅前に向かった。

16 : : 2004/03/09(火) 00:44
>>15
駅前の噴水広場━━━━━━━━━━
 
『但馬』が到着すると、噴水の前に黒の野球帽を被った女性を見つけた。
長い黒髪が風になびいている。
黒いバックを背負っており、静かに佇んでいた・・・・・・・・。
 
『ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ』
 
女性から少し離れた位置に、黒い野球帽を被って黒いバックを肩に掛けた
中年の男が立っている・・・・・・・・・・。

17 : サブロー『ブラウンストーン』 : 2004/03/09(火) 00:57
>>16
(なんだありゃ‥‥まあ、きっと偶然だな。
そんな珍しい『目印』でもねーし‥‥‥)
 
『黒髪の女性』に近づく。
 
(しかしこういう時はなんていやいいんだろうな‥‥『待った?』とかか?)

18 : : 2004/03/09(火) 01:00
>>17
『但馬』が女性に近付いて行くと、向こうも接近に気付いたらしく顔を上げた。
色白の端正な顔立ちをした女性で、優しそうな笑顔を浮かべる。
 
「あの・・・・・・『但馬さん』・・・・・・・・ですよね?」
 
透ける様な声で、女性が尋ねた。

19 : サブロー『ブラウンストーン』 : 2004/03/09(火) 01:10
>>18
ズッギュゥゥゥ──zン!!
 
笑顔がハートに響いた。
(『悪戯心』のつもりだったがッ!こいつは予想外だぜッ!!
俺ってもしかしたら50億分の一のラッキー・ガイかもな〜〜〜ッ!!)
 
「但馬‥‥三郎です。よろしく」
挨拶した。
「もしかして待たせちゃったのかな‥‥すみません」

20 : : 2004/03/09(火) 01:15
>>19
「いいえ、私もさっき来たばかりです。」
 
女性が笑顔で答えた。
 
「あ・・・・・・・・私、『由梨香』と言います。
今日は、よろしくお願いします・・・・・・・・。」
 
『由梨香』と名乗った女性は、ゆったりと御辞儀をする。

21 : サブロー『ブラウンストーン』 : 2004/03/09(火) 01:25
>>20
「こ、こちらこそ‥‥」
恐縮した。
 
「どこか‥‥行きたいところとかあります?」

22 : : 2004/03/09(火) 01:31
>>21
「『但馬さん』の行きたい所でいいですよ。」
 
『由梨香』は、そう言って首を傾げた。

23 : サブロー『ブラウンストーン』 : 2004/03/09(火) 01:37
>>22
「じゃあ、映画でも。
どんな映画が好きですか?」
 
映画館を目指す。

24 : : 2004/03/09(火) 01:44
>>23
「映画・・・・・・・・・・私、見た事が無いです。
『但馬さん』は、見た事があるんですか?」
 
『由梨香』は、映画館を見つめて言った。

25 : サブロー『ブラウンストーン』 : 2004/03/09(火) 01:53
>>24
(珍しいな‥‥まあ、そういうこともあるよな)
 
今上映している映画を、案内板で確かめた。
 
「ええまあ、月1くらいで」

26 : : 2004/03/09(火) 02:02
>>25
現在上映しているのは、2タイトル・・・・・・・・
『人魚達のバカンス』という恋愛物と、『巨大イカ対ヤリイカ』というパニック物。
丁度、数分で次の上映が始まる様だった。
 
「そうなんですか・・・・・・・・・。」
 
『由梨香』は、物珍しそうに『但馬』を見た。

27 : サブロー『ブラウンストーン』 : 2004/03/09(火) 02:09
>>26
(折角だから俺はこの『巨大イカ対ヤリイカ』を選ぶぜ!)
 
映画館に入り、チケットを買う。
「何を飲む?」
ジュースの自動販売機の前で『由梨香』に聞いた。

28 : : 2004/03/09(火) 02:10
>>27
「どれも、飲んだ事が無いので・・・・・・・・・お任せします。」
 
『由梨香』は、そう言って『但馬』を見た。

29 : サブロー『ブラウンストーン』 : 2004/03/09(火) 02:15
>>28
「‥‥じゃあ、これ」
 
『烏龍茶』と『コカコーラ』を買って、『烏龍茶』を渡した。
 
(‥‥どこが、っつーわけじゃないんだが‥‥。
なんか‥‥‥変わってるな‥‥)
 
館内に入った。
席につく。

30 : : 2004/03/09(火) 02:24
>>29
「どうも、ありがとう。」
 
『由梨香』は、そう言って烏龍茶を受け取った。
・・・・・・・・・2人が館内に入ると、少しして映画が始まる。
あらすじは、こうだった。
━━━━━━━━巨大イカに襲われた、海沿いのホテル。
そこを訪れていた主人公の若者『チャック』と、その恋人『サラ』。
2人は、イカとの戦いの中で少しずつ精神的に大人へと成長して行く。
だが、巨大イカと人間との戦いは、ヤリイカの群れを呼び寄せる。
ヤリイカの圧倒的な数の前に、2人は遂にホテルの脱出を図った。
だが、チャックが膝を骨折してしまい、サラは1人脱出する事に。
政府の派遣したイカが事態を収拾する中、サラはチャックを探して海岸を歩く。
そこには、チャックのサングラスだけが残されていた。

31 : サブロー『ブラウンストーン』 : 2004/03/09(火) 02:32
>>30
(続編があったら、たぶん実は生き残ってましたとかなんだろうな‥‥)
 
上映中、『由梨香』の様子を時折さりげなく観察していた。

32 : : 2004/03/09(火) 23:40
>>31
『由梨香』は、興味深げに真剣な眼差しでスクリーンを見ていた。
上映が終わると、一息着いて『但馬』の方を見る。
 
「面白かったですね・・・・・・・とても。
私、こういうものを初めて見ました。」
 
嬉しそうに笑う。

33 : サブロー『ブラウンストーン』 : 2004/03/09(火) 23:56
>>32
ズッギュゥゥゥ──zン!!
  
すいません結婚してください、と言いそうになったのを危うくこらえた。
「いや、喜んでもらえたなら、俺も嬉しいよ」
 
腕時計で、今の時間を確認する。

34 : : 2004/03/10(水) 00:04
>>33
時間は、午後2時を回った所だった。

35 : サブロー『ブラウンストーン』 : 2004/03/10(水) 00:18
>>34
「ちょっと、どこかで休憩しようか」
 
映画館を出て、喫茶店に入る。

36 : : 2004/03/10(水) 00:22
>>35
「はい。」
 
『由梨香』は、素直に付いて来る。
2人は、映画館を出て近くの喫茶店に入った・・・・・・・・。
店員が注文を聞きに来る。

37 : サブロー『ブラウンストーン』 : 2004/03/10(水) 00:31
>>36
「コーヒー。ホットで。
『由梨香』さんは?」
 
(‥‥まさかとは思うけどよ‥‥ここでも『喫茶店なんて始めて』とか言うんじゃないだろーな‥)

38 : : 2004/03/10(水) 00:37
>>37
「ええと・・・・・・じゃあ、『但馬さん』と同じものを。」
 
店員は、注文を確認すると立ち去って行った。

39 : サブロー『ブラウンストーン』 : 2004/03/10(水) 00:46
>>38
「『由梨香』さんの‥‥」
 
(ここは当り障りの無い会話がベストだ!たぶんな!!)
 
「‥‥『趣味』って何?」

40 : : 2004/03/10(水) 22:54
>>39
「趣味は・・・・・『考える事』だと思います。」
 
『由梨香』が答えた。

41 : サブロー『ブラウンストーン』 : 2004/03/10(水) 23:00
>>40
(『考える事』‥‥‥『だと思います』?)
 
「‥‥例えば、どんなことについて?人生とか?」

42 : : 2004/03/10(水) 23:23
>>41
「色んな事を考えます。
今、こうしている間も・・・・・・・このお店の事とか、『但馬さん』の事とか。」
 
店員がコーヒーを運んで来る。
2人の前に出されたコーヒーは、微かに湯気を立ち上らせていた。

43 : サブロー『ブラウンストーン』 : 2004/03/10(水) 23:35
>>42
「もしかして、『喫茶店』に入ったのも『初めて』‥‥とか?」
 
やや冗談めかして言う。
 
「何か、好きなものとかは?何でも頼んでいいけど」

44 : : 2004/03/10(水) 23:40
>>43
「はい、初めてです。」
 
『由梨香』は、そう言ってコーヒーに口を付けた。
 
「『但馬さん』の好きなものは、何ですか?」

45 : サブロー『ブラウンストーン』 : 2004/03/10(水) 23:50
>>44
「‥カレーうどんかな‥‥」
 
『ドドドドドドドドドド』
 
(‥‥‥‥なんなんなんだ‥‥。
まさか、『私もカレーうどんです』とかいうんじゃなかろうな‥‥)

46 : : 2004/03/10(水) 23:54
>>45
「じゃあ、それを頼めますか?」
 
『由梨香』は、そう言って店を見回した。

47 : サブロー『ブラウンストーン』 : 2004/03/10(水) 23:57
>>46
「いや、多分ここじゃやってないと思うな‥‥」
 
つられて見回す。
 
「‥‥‥『由梨香』さんの特技は?」

48 : : 2004/03/11(木) 00:03
>>47
「そうなんですか。」
 
『由梨香』は、再び『但馬』に視線を戻す。
 
「特技・・・・・・・私に出来る事は、こうして話す事くらいだと思います。」
 
そう言うと、少し微笑んだ。

49 : サブロー『ブラウンストーン』 : 2004/03/11(木) 00:22
>>48
コーヒーカップに口をつける。
 
「じゃあ、もっと話して欲しいな。『由梨香』さんのことを」

50 : : 2004/03/11(木) 20:44
>>49
「私の事ですか?」
 
『由梨香』は、不思議そうに言った。
 
「私なんて、お話しする様な事は無いと思いますよ。」

51 : サブロー『ブラウンストーン』 : 2004/03/11(木) 22:51
>>50
「そんなことはないよ。
『由梨香』さんがそう思ってるだけさ‥‥なんでもいいんだ」

52 : : 2004/03/11(木) 23:47
>>51
「優しいんですね。」
 
『由梨香』は、そう言って微笑んだ。
 
「さっきの映画で・・・・・・・・初めて『海』を見ました。
自分の知らない景色を見た瞬間って、新鮮な気分ですね。」
 
そう言うと、『由梨香』は思い付いた様に『但馬』を見た。
 
「『但馬さん』は、海に行った事がありますか?」

53 : サブロー『ブラウンストーン』 : 2004/03/11(木) 23:58
>>52
「勿論。
‥‥‥そうだ、今から行ってみる?ちょっと遠いけど『由梨香』さんさえよければ」

54 : : 2004/03/12(金) 00:04
>>53
「本当ですか?」
 
『由梨香』の表情が、明るくなった様な気がした。

55 : サブロー『ブラウンストーン』 : 2004/03/12(金) 00:21
>>54
「そうと決まれば、話は早い。行こうか」
 
コーヒーを飲み干して、席を立つ。
二人分の勘定を払って喫茶店を出ると、自分の家まで戻る。

56 : : 2004/03/12(金) 00:30
>>55
2人は、喫茶店を後にした。
黙って付いて来る『由梨香』と共に、『但馬』は自宅へと辿り着く。

57 : サブロー『ブラウンストーン』 : 2004/03/12(金) 00:50
>>56
「ちょっと待ってて」

家の前で『由梨香』を待たせておく。
車を車庫から出した。
 
「‥‥お待たせ」
 
助手席のドアを開ける。

58 : : 2004/03/12(金) 00:57
>>57
「これに乗るんですか?」
 
『由梨香』は、そう言って車に乗り込もうとする。
 
『ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ』
 
「時間ダゼ、ココマデダ・・・・・・」
 
『但馬』の後ろから、声が聞こえた。

59 : サブロー『ブラウンストーン』 : 2004/03/12(金) 01:01
>>58
(なんか来たァァァァッ!!来やがったァァァッ!!!)
 
後を振り返りつつ、『ブラウンストーン』を出す。
 
「『時間』‥‥‥だと!?」

60 : : 2004/03/12(金) 01:09
>>59
振り向くと、高部座席に『スタンド』が見えた。
(『人型/人工・機械型』
ダイヤル式キーロックの様に、頭部が層になっていている。
目や鼻などは無く、代わりに不規則的な数字が頭部全体に書かれていた。
大人並の大きさで、両手には鎖が巻き付いている。)
 
「あの・・・・・・・」
 
『由梨香』が何か言い出そうとすると、『スタンド』が遮った。
 
「オイ、オ客サン。
テメー『見エテイル』ナッ!?」

61 : サブロー『ブラウンストーン』 : 2004/03/12(金) 01:17
>>60
「いえこっちの話です‥‥ところで『由梨香』さん、好きな曲とかあります?」
 
『ブラウンストーン』が、後部座席の『スタンド』に向かって立てた人差し指を口に当てる。
『黙ってろ』のジェスチャーだ。
同時に『答える必要は無い』ということも示している。
(なんせこっちも『スタンド』を出してるんだからな)

62 : : 2004/03/12(金) 01:22
>>61
「ごめんなさい・・・・・・・・もう、帰らないと・・・・・・・・・。
・・・・・・・・『但馬さん』には、『見える』んですか?」
 
『由梨香』が言った。
 
「コイツ、『スタンド使い』ダッ!!
テメーハ、サッサト帰レ!余計ナ事ヲ聞イテンジャネェッ!」
 
『スタンド』が、『由梨香』に向かって怒鳴る。
『由梨香』は、その声に急いで走り去って行く・・・・・・・・・・。

63 : サブロー『ブラウンストーン』 : 2004/03/12(金) 01:27
>>62
「ああっ!『由梨香』さん!!」
 
車で追いかける。
追いかけながら、後部座席の『スタンド』に話し掛けた。
 
「てめーは‥‥‥ブッ殺す!!
‥‥‥と言いたいが俺はそこまで馬鹿じゃあねーぜ。
なんだ?ああん?『スタンド使い』だとなんか拙いことでもあんのか?」

64 : : 2004/03/12(金) 01:40
>>63
「モウ時間ナンダヨ、ボケナス!
追イカケテンジャネーゾ、オ客サァァアン!!」
 
車は、すぐに『由梨香』に追い付く。
『由梨香』は、チラリと車の方を見た・・・・・・・・・。

65 : サブロー『ブラウンストーン』 : 2004/03/12(金) 01:43
>>64
「じゃあ『時間延長』すりゃいいんだろ!いくらだこのダボハゼ!!」
 
口論しながら、『由梨香』のところへ。
 
「こ、こういうことは最初に話して欲しかった!」

66 : : 2004/03/12(金) 01:51
>>65
「『出会イ』ヲ、提供スルダケナンデネェェ〜〜・・・・・・・・
オ客サンノ『チャンス』ハ、モウ終ワリダゼッ!
『人形』ト何スル気ダァァ?
コノ童貞野郎ッ!!身ノホドヲ知レッ!!」
 
『スタンド』が言った。

67 : サブロー『ブラウンストーン』 : 2004/03/12(金) 01:55
>>66
「‥‥人形‥だと‥‥!?どういうことだッ!!
まさかてめーの『スタンド能力』か!?」

68 : : 2004/03/12(金) 02:06
>>67
「今頃気付イタノカ、テメーハ・・・・・・・・救イ難イ『アホ』ダナッ!
『由梨香』ハ、オレガ『作ッタ』ンダヨ。
『ヴェルヴェット・ドールハウス』ノ『能力』デナァァ〜〜〜〜!!
最モ、本人ハ人間ノツモリダガナァァ〜。」
 
そう言うと、『スタンド』の頭部がカシャカシャと回り始めた。
『由梨香』が、不意に止まる・・・・・・・・。
 
「ダガ、本当ニ『終ワリ』ダ。
テメーニ知ラレタ以上、我ガ社ノ証拠ハ消ス・・・・・・・・・・。」

69 : サブロー『ブラウンストーン』 : 2004/03/12(金) 02:12
>>68
「‥‥まあ、ちょっとおかしいなとは思ったんだよな。
あんまりにも、何も知らなさ過ぎるっつーのが‥‥‥」
 
『ブラウンストーン』で、『ヴェルヴェット・ドールハウス』の頭部を掴みそのまま『握りつぶし』、
ダイヤル部分を歪ませる。
 
「それ以上の『カシャカシャ』は、『ブラウンストーン』が許さねーぜ‥‥。
曲げて潰して、動かねーようにしてやるよ」

70 : : 2004/03/12(金) 02:16
>>69
『ブラウンストーン』が動くのと同時に、『ヴェルヴェット・ドールハウス』は
素早く開いていた後部座席の窓から飛び出した。
『由梨香』は、ガードレールに寄り掛かってフラフラと歩いている・・・・・・・・。

71 : サブロー『ブラウンストーン』 : 2004/03/12(金) 02:21
>>70
「逃さねーぜ」
 
車を止めて運転席から降り、『ヴェルヴェット・ドールハウス』を『ブラウンストーン』で捕らえる。

「『由梨香』さん?大丈夫ですか『由梨香』さーん!!」

72 : : 2004/03/12(金) 02:23
>>71
『ヴェルヴェット・ドールハウス』との距離は、すでに10メートル以上離れていた。
名前を呼ぶと、『由梨香』は『但馬』を見て少し微笑んだ・・・・・・・・。
そして、そのまま倒れ込む。

73 : サブロー『ブラウンストーン』 : 2004/03/12(金) 02:27
>>72
「『由梨香』さーん!」
 
駆け寄って抱き起こす。

74 : : 2004/03/12(金) 02:31
>>73
「但馬さん・・・・・・・・・」
 
『由梨香』は、小さな声で言った。
その身体は、軽かったが確かな温もりを感じた。
 
「私・・・・・・・・・人間じゃないんですね・・・・・・・・・・」
 
『由梨香』は、虚ろな目で『但馬』を見つめる。

75 : サブロー『ブラウンストーン』 : 2004/03/12(金) 02:44
>>74
「‥‥‥『由梨香』さん、『人間』ってなんだと思う?」
 
『ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ』
 
『ヴェルヴェット・ドールハウス』の姿を探す。

76 : : 2004/03/12(金) 02:50
>>75
『ヴェルヴェット・ドールハウス』の姿は、見当たらない。
『由梨香』は、静かに目を閉じた・・・・・・・・・。
 
「きっと、人間は・・・・・・・・・・・
色んな事を感じたり、それを抱きしめたり出来るものじゃないかしら。
私も・・・・・・・・・もう少し、人間だったら・・・・・・・・・」

77 : サブロー『ブラウンストーン』 : 2004/03/12(金) 02:58
>>75
「‥‥俺もそう思うよ。気が合うね」
 
笑った。
人間とはなんだろうなんて今まで一度も考えたことなんかありゃしなかったが。

78 : : 2004/03/12(金) 03:02
>>77
『由梨香』は、微笑んだ。
 
「海・・・・・・・・行きたかったですね・・・・・・・・・・・・」

79 : サブロー『ブラウンストーン』 : 2004/03/12(金) 03:14
>>78
「じゃ、今から行く?」
 
『由梨香』を抱えて助手席に乗せ、海のほうまで車を走らせる。

80 : : 2004/03/12(金) 03:15
>>79
「もうちょっとだけ・・・・・・・・・・・人間だったら・・・・・・・・・・・・
海で、はしゃいで・・・・・・・・・・・・・・・・膝を骨折してみたいです。
ゴロゴロ言うまで子猫を撫でたり、小鳥も飼ってみたいし・・・・・・・・・・・
悲しい映画を見て泣いて・・・・・・・・・・お腹が痛くなるまで笑ったり。」
 
『由梨香』は、呟く様に言った。
 
「友達も、たくさん欲しかったな・・・・・・・・・もう少しだけ人間だったら・・・・・・・・・・・・・」
 
ふと、『但馬』は『由梨香』の姿が透け始めている様に見えた。

81 : サブロー『ブラウンストーン』 : 2004/03/12(金) 03:22
>>80
「‥‥そろそろ着くよ。窓の外、見てて」
 
車を走らせる。

82 : : 2004/03/12(金) 03:23
>>81
「もう少しだけ人間だったら・・・・・・・・・・・・・
全ての出来事を、きっと・・・・・・・・・・・キラキラ目を輝かせて見つめられたと思います。
『但馬さん』の事も・・・・・・・・・・・・・・」
 
『由梨香』は、言われた通りに流れる外の景色を見つめた。

83 : サブロー『ブラウンストーン』 : 2004/03/12(金) 03:28
>>82
「‥‥‥ありがとう、『由梨香』さん」

84 : : 2004/03/12(金) 03:29
>>83
「私は、思いやりのある寛大な人になれたな・・・・・・・・・・・・・?
センチメンタルになったり・・・・・・・・・・・寂しがったりするかしら・・・・・・・・・・
疑ったり・・・・・・・・・・・・不安になったり。
誰かを悲しませたりするのかな・・・・・・・・・・・・・・・・・
全てが終わる時・・・・・・・・・・・やっぱり、泣いたのかな?」
 
『由梨香』の身体は、水晶の様にキラキラと光を反射しながら消えて行く。
 
「・・・・・・・・・・・・・何を言えば、いいのかしら。
あなたに会えて・・・・・・・・・・・・」
 
━━━━━━━━━━『由梨香』は、消えた。

85 : エピローグ : 2004/03/12(金) 03:32
『但馬』の訪れた事務所は、もぬけの殻だった。
 
数日後、封筒が届く。
中には、1万円札が1枚入っていた・・・・・・・・・・・。

86 : : 2004/03/12(金) 03:34
THE END

87 : サブロー『ブラウンストーン』 : 2004/03/12(金) 03:37
>>84
「君に会えて‥‥『よかった』よ。『由梨香』さん」
 
車を路肩に止める。
 
「‥‥‥‥‥‥」
 
‥‥‥しばらく海を見て、帰った。

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