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- 39 : サブロー『ブラウンストーン』 : 2004/03/10(水) 00:46
- >>38
「『由梨香』さんの‥‥」
(ここは当り障りの無い会話がベストだ!たぶんな!!)
「‥‥『趣味』って何?」
- 40 : → : 2004/03/10(水) 22:54
- >>39
「趣味は・・・・・『考える事』だと思います。」
『由梨香』が答えた。
- 41 : サブロー『ブラウンストーン』 : 2004/03/10(水) 23:00
- >>40
(『考える事』‥‥‥『だと思います』?)
「‥‥例えば、どんなことについて?人生とか?」
- 42 : → : 2004/03/10(水) 23:23
- >>41
「色んな事を考えます。
今、こうしている間も・・・・・・・このお店の事とか、『但馬さん』の事とか。」
店員がコーヒーを運んで来る。
2人の前に出されたコーヒーは、微かに湯気を立ち上らせていた。
- 43 : サブロー『ブラウンストーン』 : 2004/03/10(水) 23:35
- >>42
「もしかして、『喫茶店』に入ったのも『初めて』‥‥とか?」
やや冗談めかして言う。
「何か、好きなものとかは?何でも頼んでいいけど」
- 44 : → : 2004/03/10(水) 23:40
- >>43
「はい、初めてです。」
『由梨香』は、そう言ってコーヒーに口を付けた。
「『但馬さん』の好きなものは、何ですか?」
- 45 : サブロー『ブラウンストーン』 : 2004/03/10(水) 23:50
- >>44
「‥カレーうどんかな‥‥」
『ドドドドドドドドドド』
(‥‥‥‥なんなんなんだ‥‥。
まさか、『私もカレーうどんです』とかいうんじゃなかろうな‥‥)
- 46 : → : 2004/03/10(水) 23:54
- >>45
「じゃあ、それを頼めますか?」
『由梨香』は、そう言って店を見回した。
- 47 : サブロー『ブラウンストーン』 : 2004/03/10(水) 23:57
- >>46
「いや、多分ここじゃやってないと思うな‥‥」
つられて見回す。
「‥‥‥『由梨香』さんの特技は?」
- 48 : → : 2004/03/11(木) 00:03
- >>47
「そうなんですか。」
『由梨香』は、再び『但馬』に視線を戻す。
「特技・・・・・・・私に出来る事は、こうして話す事くらいだと思います。」
そう言うと、少し微笑んだ。
- 49 : サブロー『ブラウンストーン』 : 2004/03/11(木) 00:22
- >>48
コーヒーカップに口をつける。
「じゃあ、もっと話して欲しいな。『由梨香』さんのことを」
- 50 : → : 2004/03/11(木) 20:44
- >>49
「私の事ですか?」
『由梨香』は、不思議そうに言った。
「私なんて、お話しする様な事は無いと思いますよ。」
- 51 : サブロー『ブラウンストーン』 : 2004/03/11(木) 22:51
- >>50
「そんなことはないよ。
『由梨香』さんがそう思ってるだけさ‥‥なんでもいいんだ」
- 52 : → : 2004/03/11(木) 23:47
- >>51
「優しいんですね。」
『由梨香』は、そう言って微笑んだ。
「さっきの映画で・・・・・・・・初めて『海』を見ました。
自分の知らない景色を見た瞬間って、新鮮な気分ですね。」
そう言うと、『由梨香』は思い付いた様に『但馬』を見た。
「『但馬さん』は、海に行った事がありますか?」
- 53 : サブロー『ブラウンストーン』 : 2004/03/11(木) 23:58
- >>52
「勿論。
‥‥‥そうだ、今から行ってみる?ちょっと遠いけど『由梨香』さんさえよければ」
- 54 : → : 2004/03/12(金) 00:04
- >>53
「本当ですか?」
『由梨香』の表情が、明るくなった様な気がした。
- 55 : サブロー『ブラウンストーン』 : 2004/03/12(金) 00:21
- >>54
「そうと決まれば、話は早い。行こうか」
コーヒーを飲み干して、席を立つ。
二人分の勘定を払って喫茶店を出ると、自分の家まで戻る。
- 56 : → : 2004/03/12(金) 00:30
- >>55
2人は、喫茶店を後にした。
黙って付いて来る『由梨香』と共に、『但馬』は自宅へと辿り着く。
- 57 : サブロー『ブラウンストーン』 : 2004/03/12(金) 00:50
- >>56
「ちょっと待ってて」
家の前で『由梨香』を待たせておく。
車を車庫から出した。
「‥‥お待たせ」
助手席のドアを開ける。
- 58 : → : 2004/03/12(金) 00:57
- >>57
「これに乗るんですか?」
『由梨香』は、そう言って車に乗り込もうとする。
『ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ』
「時間ダゼ、ココマデダ・・・・・・」
『但馬』の後ろから、声が聞こえた。
- 59 : サブロー『ブラウンストーン』 : 2004/03/12(金) 01:01
- >>58
(なんか来たァァァァッ!!来やがったァァァッ!!!)
後を振り返りつつ、『ブラウンストーン』を出す。
「『時間』‥‥‥だと!?」
- 60 : → : 2004/03/12(金) 01:09
- >>59
振り向くと、高部座席に『スタンド』が見えた。
(『人型/人工・機械型』
ダイヤル式キーロックの様に、頭部が層になっていている。
目や鼻などは無く、代わりに不規則的な数字が頭部全体に書かれていた。
大人並の大きさで、両手には鎖が巻き付いている。)
「あの・・・・・・・」
『由梨香』が何か言い出そうとすると、『スタンド』が遮った。
「オイ、オ客サン。
テメー『見エテイル』ナッ!?」
- 61 : サブロー『ブラウンストーン』 : 2004/03/12(金) 01:17
- >>60
「いえこっちの話です‥‥ところで『由梨香』さん、好きな曲とかあります?」
『ブラウンストーン』が、後部座席の『スタンド』に向かって立てた人差し指を口に当てる。
『黙ってろ』のジェスチャーだ。
同時に『答える必要は無い』ということも示している。
(なんせこっちも『スタンド』を出してるんだからな)
- 62 : → : 2004/03/12(金) 01:22
- >>61
「ごめんなさい・・・・・・・・もう、帰らないと・・・・・・・・・。
・・・・・・・・『但馬さん』には、『見える』んですか?」
『由梨香』が言った。
「コイツ、『スタンド使い』ダッ!!
テメーハ、サッサト帰レ!余計ナ事ヲ聞イテンジャネェッ!」
『スタンド』が、『由梨香』に向かって怒鳴る。
『由梨香』は、その声に急いで走り去って行く・・・・・・・・・・。
- 63 : サブロー『ブラウンストーン』 : 2004/03/12(金) 01:27
- >>62
「ああっ!『由梨香』さん!!」
車で追いかける。
追いかけながら、後部座席の『スタンド』に話し掛けた。
「てめーは‥‥‥ブッ殺す!!
‥‥‥と言いたいが俺はそこまで馬鹿じゃあねーぜ。
なんだ?ああん?『スタンド使い』だとなんか拙いことでもあんのか?」
- 64 : → : 2004/03/12(金) 01:40
- >>63
「モウ時間ナンダヨ、ボケナス!
追イカケテンジャネーゾ、オ客サァァアン!!」
車は、すぐに『由梨香』に追い付く。
『由梨香』は、チラリと車の方を見た・・・・・・・・・。
- 65 : サブロー『ブラウンストーン』 : 2004/03/12(金) 01:43
- >>64
「じゃあ『時間延長』すりゃいいんだろ!いくらだこのダボハゼ!!」
口論しながら、『由梨香』のところへ。
「こ、こういうことは最初に話して欲しかった!」
- 66 : → : 2004/03/12(金) 01:51
- >>65
「『出会イ』ヲ、提供スルダケナンデネェェ〜〜・・・・・・・・
オ客サンノ『チャンス』ハ、モウ終ワリダゼッ!
『人形』ト何スル気ダァァ?
コノ童貞野郎ッ!!身ノホドヲ知レッ!!」
『スタンド』が言った。
- 67 : サブロー『ブラウンストーン』 : 2004/03/12(金) 01:55
- >>66
「‥‥人形‥だと‥‥!?どういうことだッ!!
まさかてめーの『スタンド能力』か!?」
- 68 : → : 2004/03/12(金) 02:06
- >>67
「今頃気付イタノカ、テメーハ・・・・・・・・救イ難イ『アホ』ダナッ!
『由梨香』ハ、オレガ『作ッタ』ンダヨ。
『ヴェルヴェット・ドールハウス』ノ『能力』デナァァ〜〜〜〜!!
最モ、本人ハ人間ノツモリダガナァァ〜。」
そう言うと、『スタンド』の頭部がカシャカシャと回り始めた。
『由梨香』が、不意に止まる・・・・・・・・。
「ダガ、本当ニ『終ワリ』ダ。
テメーニ知ラレタ以上、我ガ社ノ証拠ハ消ス・・・・・・・・・・。」
- 69 : サブロー『ブラウンストーン』 : 2004/03/12(金) 02:12
- >>68
「‥‥まあ、ちょっとおかしいなとは思ったんだよな。
あんまりにも、何も知らなさ過ぎるっつーのが‥‥‥」
『ブラウンストーン』で、『ヴェルヴェット・ドールハウス』の頭部を掴みそのまま『握りつぶし』、
ダイヤル部分を歪ませる。
「それ以上の『カシャカシャ』は、『ブラウンストーン』が許さねーぜ‥‥。
曲げて潰して、動かねーようにしてやるよ」
- 70 : → : 2004/03/12(金) 02:16
- >>69
『ブラウンストーン』が動くのと同時に、『ヴェルヴェット・ドールハウス』は
素早く開いていた後部座席の窓から飛び出した。
『由梨香』は、ガードレールに寄り掛かってフラフラと歩いている・・・・・・・・。
- 71 : サブロー『ブラウンストーン』 : 2004/03/12(金) 02:21
- >>70
「逃さねーぜ」
車を止めて運転席から降り、『ヴェルヴェット・ドールハウス』を『ブラウンストーン』で捕らえる。
「『由梨香』さん?大丈夫ですか『由梨香』さーん!!」
- 72 : → : 2004/03/12(金) 02:23
- >>71
『ヴェルヴェット・ドールハウス』との距離は、すでに10メートル以上離れていた。
名前を呼ぶと、『由梨香』は『但馬』を見て少し微笑んだ・・・・・・・・。
そして、そのまま倒れ込む。
- 73 : サブロー『ブラウンストーン』 : 2004/03/12(金) 02:27
- >>72
「『由梨香』さーん!」
駆け寄って抱き起こす。
- 74 : → : 2004/03/12(金) 02:31
- >>73
「但馬さん・・・・・・・・・」
『由梨香』は、小さな声で言った。
その身体は、軽かったが確かな温もりを感じた。
「私・・・・・・・・・人間じゃないんですね・・・・・・・・・・」
『由梨香』は、虚ろな目で『但馬』を見つめる。
- 75 : サブロー『ブラウンストーン』 : 2004/03/12(金) 02:44
- >>74
「‥‥‥『由梨香』さん、『人間』ってなんだと思う?」
『ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ』
『ヴェルヴェット・ドールハウス』の姿を探す。
- 76 : → : 2004/03/12(金) 02:50
- >>75
『ヴェルヴェット・ドールハウス』の姿は、見当たらない。
『由梨香』は、静かに目を閉じた・・・・・・・・・。
「きっと、人間は・・・・・・・・・・・
色んな事を感じたり、それを抱きしめたり出来るものじゃないかしら。
私も・・・・・・・・・もう少し、人間だったら・・・・・・・・・」
- 77 : サブロー『ブラウンストーン』 : 2004/03/12(金) 02:58
- >>75
「‥‥俺もそう思うよ。気が合うね」
笑った。
人間とはなんだろうなんて今まで一度も考えたことなんかありゃしなかったが。
- 78 : → : 2004/03/12(金) 03:02
- >>77
『由梨香』は、微笑んだ。
「海・・・・・・・・行きたかったですね・・・・・・・・・・・・」
- 79 : サブロー『ブラウンストーン』 : 2004/03/12(金) 03:14
- >>78
「じゃ、今から行く?」
『由梨香』を抱えて助手席に乗せ、海のほうまで車を走らせる。
- 80 : → : 2004/03/12(金) 03:15
- >>79
「もうちょっとだけ・・・・・・・・・・・人間だったら・・・・・・・・・・・・
海で、はしゃいで・・・・・・・・・・・・・・・・膝を骨折してみたいです。
ゴロゴロ言うまで子猫を撫でたり、小鳥も飼ってみたいし・・・・・・・・・・・
悲しい映画を見て泣いて・・・・・・・・・・お腹が痛くなるまで笑ったり。」
『由梨香』は、呟く様に言った。
「友達も、たくさん欲しかったな・・・・・・・・・もう少しだけ人間だったら・・・・・・・・・・・・・」
ふと、『但馬』は『由梨香』の姿が透け始めている様に見えた。
- 81 : サブロー『ブラウンストーン』 : 2004/03/12(金) 03:22
- >>80
「‥‥そろそろ着くよ。窓の外、見てて」
車を走らせる。
- 82 : → : 2004/03/12(金) 03:23
- >>81
「もう少しだけ人間だったら・・・・・・・・・・・・・
全ての出来事を、きっと・・・・・・・・・・・キラキラ目を輝かせて見つめられたと思います。
『但馬さん』の事も・・・・・・・・・・・・・・」
『由梨香』は、言われた通りに流れる外の景色を見つめた。
- 83 : サブロー『ブラウンストーン』 : 2004/03/12(金) 03:28
- >>82
「‥‥‥ありがとう、『由梨香』さん」
- 84 : → : 2004/03/12(金) 03:29
- >>83
「私は、思いやりのある寛大な人になれたな・・・・・・・・・・・・・?
センチメンタルになったり・・・・・・・・・・・寂しがったりするかしら・・・・・・・・・・
疑ったり・・・・・・・・・・・・不安になったり。
誰かを悲しませたりするのかな・・・・・・・・・・・・・・・・・
全てが終わる時・・・・・・・・・・・やっぱり、泣いたのかな?」
『由梨香』の身体は、水晶の様にキラキラと光を反射しながら消えて行く。
「・・・・・・・・・・・・・何を言えば、いいのかしら。
あなたに会えて・・・・・・・・・・・・」
━━━━━━━━━━『由梨香』は、消えた。
- 85 : エピローグ : 2004/03/12(金) 03:32
- 『但馬』の訪れた事務所は、もぬけの殻だった。
数日後、封筒が届く。
中には、1万円札が1枚入っていた・・・・・・・・・・・。
- 86 : → : 2004/03/12(金) 03:34
- THE END
- 87 : サブロー『ブラウンストーン』 : 2004/03/12(金) 03:37
- >>84
「君に会えて‥‥『よかった』よ。『由梨香』さん」
車を路肩に止める。
「‥‥‥‥‥‥」
‥‥‥しばらく海を見て、帰った。
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